SAPIXとのつきあい方 5つの心得

親がサポートしたい8つのことにも書きましたが、合格実績の良いSAPIXに入れて、先生にお任せすれば大丈夫。なんて、そうは問屋がおろさないのが、中学受験 with SAPIXです。親御さんがどういうスタンスでSAPIXとつきあうと良いかについて書いてみました。少しでも参考になれば嬉しいです。

SAPIXとのつきあい方・5つの心得
  1. 手厚さを期待しない
  2. 親がSAPIXにこだわりすぎない
  3. テストの結果に一喜一憂しない(よう、心がける)
  4. 子どもと相性の良い先生を知っておく
  5. 遠慮せず直接電話で相談する

① 手厚さを期待しない

SAPIXに手厚さは期待できません。クールです。先生から「お子さんは〇〇の理解が甘いので、もう少し〇〇をやったら良いですよ。」なんて連絡は一度ももらったことが無いですし(こちらから聞けば教えてくれます)、4〜5年生のうちは個別面談もありません。6年生の時に志望校を決めるための個別面談が2回あっただけでした。

SAPIX自慢のテキストと、最大の魅力である飽きさせない討論型の授業(アクティブラーニング)を最大限活用して、親子で頑張るのがSAPIX。と覚悟を決めてしまった方がモヤモヤしません。

SAPIXはその合格実績からますます人気で息子が通った校舎でも生徒さんが増加しています。1クラス20人位で、大きな校舎では20クラス以上、中規模でも10〜15クラスありますから、個別や少人数制のような手厚さを求めるのは無理がありますよね。

でも、はじめから期待していないと「案外見てくれている!!」と感動することがあります。そうなんです、本当は愛情を持って見てくれているんです。ただ、授業中によく発言する目立つタイプのお子さんはちょっと得です。静かなタイプのお子さんは、先生も覚えるのに時間がかかるようで、そういうタイプのお子さんのママが「保護者会で先生に声をかけたけど、うちの子のこと分かってなくて、当たり障りの無いことしか言ってもらえなかった〜」とガッカリしていたのを覚えています。

お母さんがフルタイムでお仕事をされていて、弱点のケアまでできれば全部お任せしたい!という場合、それなりの費用がかかってしまうけれど、追加でSAPIX準拠の個別指導塾PRIVATOを利用したり、家庭教師の先生にお願いしたり、関西系の塾だと拘束時間がかなり長いかわりに、全てお任せできるそうなのでそういう塾がお近くにあればそちらを選ばれるのも良いかも知れません。息子の話では、SAPIXと個別や家庭教師や他塾を併用していたお子さんも結構いたみたいです。

母

うちの息子は賑やかだったから、相談の電話をすると「ちょっと最近うるさいですね。笑」なんて言われて謝ることも何度かあった。でも、目立っていたおかげ?で成績不振で困った時には的確なアドバイスをもらえたの。

② 親がSAPIXにこだわりすぎない

「ドSのサピ」とか「地獄のサピ」なんて言われることもあるSAPIX。お子さんとの相性が良ければ、面白い授業が知的好奇心を刺激してくれて、お友達と切磋琢磨できる素晴らしい環境なので、イキイキと充実した3年間を過ごせて、入試が終わった後に親子で”サピロス”になる方もいます。

でも、本人にやる気がなければ本当にただの地獄かも知れません。

頑張っていても成績が思うように伸びなかったり、厳しい先生に何か言われて落ち込んだりすることもあります。偏差値が悪くてお母さんやお父さんに叱られたり、悔しくて大泣きすることもあります。やる気がある時もない時も、沢山の家庭学習に追われ続け、常に競争心を煽られ、常に順番がつけられる過酷な世界

6年生の後期になると、授業のたびに成績順で席が変わって一喜一憂し、模試では厳しい現実と向き合い、1日の勉強時間も10時間を超えてきたりします(そんなにやらなくてもデキるお子さんももちろんいます)。

知ることが好きで、競争するのが好きで、負けん気が強くて、嫌なことがあっても悔し泣きをしても、すぐに忘れてしまう、自己肯定感が高くて、ちょっと鈍感なくらい(笑)のお子さんがSAPIXに向いているような気がします。

子どもも親もメンタルがやられてしまうようなことが無いよう、本人の意志で通塾しているかどうか、大変ながらもお友達と一緒に頑張ることを楽しんでいるか、いつもしっかりとお子さんを観察することを忘れないでくださいね。問題があれば転塾したり、高校受験に切り替える勇気も必要です。親が、何が何でも!とムキにならず、「本当に辛くなったらやめてもいいんだよ。」と伝えられる気持ちの余裕をいつも持っていたいです。

母

おっとりした優しい性格のお友達はSAPIXが辛くなって途中で少人数制の塾に転塾したよ。先生が親身になってくれるうちにやる気と自信を取り戻したみたい!塾との相性はあるから、SAPIXにこだわりすぎず、うちの子らしい、じぶんらしい中学受験を。

③ テストの結果に一喜一憂しない(よう、心がける)

マンスリーテストや組分けテストの結果に一喜一憂してしまう。。大喜びした次の月にはがっくりと肩を落とすなんてことが3年間続き、明らかに老けましたね。親子で真剣に取り組んでいるからこそ、一喜一憂してしまうんですよね。だけど、親はできるだけどーんと構えていた方が子どものメンタルも安定します。SAPIXはクラス昇降のあるテストが多いですが、中学受験は長丁場なので、親子で潰れてしまわないように、無駄に一喜一憂しない、を心がけたいです。

6年生の後期になるとクラス昇降は毎週になり、毎月のテストに加えて、模試なども始まるので、さすがに慣れるというか、鈍感になるというか、腹が据わってくるというか、、とにかく、6年生になってようやく心から実感できたのは、テストは弱点の洗い出しであるということなんです。

良い結果が出た時は、たまたま苦手な問題があまり出なかっただけ、で、それは運が良い、わけではなく、むしろ運が悪い、ことなんですよね。弱点に気づかないまま小躍りで通り過ぎてしまうと、必ず後で痛い目にあいます。それよりも、苦手な問題がたくさん出てしまって点数が取れなかった、ほうが、今の課題が見えて有難い。入試までの残り時間が無くなるほど、弱点、”穴”が見つかることの有難みが分かります。本番ではその1点で合否が分かれるからです。

悪い点数の時に、出来ていないところが分かって良かった!と親子で言えると、確実に次に繋がります

息子の場合ですが、6年生後期にある計4回の合格力判定サピックスオープンの偏差値の高低差は11もありました。先生の解説によると、こんなお子さんばかりだそうです。偏差値が良かった回はたまたま「上振れ」したと考え、浮かれませんでした。偏差値が低かった時は「下振れ」と考え、落ち込みませんでした。「穴」を知ることが出来たらやるべきことを淡々とやるだけ、です。

良い成績だった次のテストでは大抵成績が落ちたので、「勝って兜の緒を締めよ」「失敗は成功のもと、成功は失敗のもと」が合言葉になっていました。

4年生、5年生の時の偏差値はあまり当てになりません。だから、6年生になる前に焦って志望校を下げたりするのは良くないです。とにかく、先のことは分からないし、最後の最後まで「これで大丈夫」という確証などどこにも無いんです。その時々の成績のアップダウンに一喜一憂しすぎず、親はひたすら弱点の洗い出しに努めましょう

もうひとつ、一喜一憂しすぎることを避けるためにオススメなのが、中学受験ブログをされている方がやってくださっている自己採点アンケートを利用することです。テスト後に自己採点をして前回のテストとの点数差を入力すると、今回のテストの予想平均点や予想偏差値が出てきます。かなり当たります。これにどれだけ救われたことか!SAPIXのマイページにテスト結果が出るまでの悶々とする期間に、ある程度の覚悟ができたり、安心したりできるので、まだご存知無い方はネットで検索をして是非利用してくださいね。

SAPIX 3年間の成績推移(我が家の一喜一憂の軌跡)も公開しましたので良かったら参考になさってください。

母

テスト結果に衝撃を受けて、子どもにあれもこれも言いたくなっちゃう時には、スマホの日記アプリに思いの丈をぶつけるのもオススメ。母は女優になるの(うまく演じられなかったけど)。

④ 子どもと相性の良い先生を知っておく

男の子はあまり学校や塾でのことを話してくれないけれど、どの教科のどの先生が好きで、どんな話をしてくれるのか、どんな絡みがあるのか、なるべく聞き出すようにして、親から相談をする際に指名する先生を数名決めておくと良いです。

もちろん苦手な教科の勉強についての相談なら、その教科の先生にお願いすることになるわけですが、6年生になると志望校や併願校の相談もしたいので、子どもと相性の良い先生だと安心して話せるし、好きな先生なら子どもも素直にアドバイスを聞き入れます。

ところが、SAPIXでは2月頭に先生の異動があって、お気に入りの先生が急に他の校舎に異動になってしまうこともあるんです。うちの息子の場合も4〜5年生の時にお世話になっていて大好きだった3人の先生が6年に上がる時にごっそりいなくなってしまいました。頼りにしていた校舎長も変わってしまって、これは本当に痛かったです。他のママたちも怒っていましたよ。いよいよこれから、という時でしたから。

子どもにとって先生はものすごく大きな存在で、モチベーションにも相当影響します。好きな先生がいなくなってしまってから成績も下がりました。相談したくてもどの先生に話したら良いのか分からない。アドバイスをもらってもなんだか的外れ。どれだけ心細かったか。さすがに秋頃には新しい先生も子どもたちのキャラクターを把握していましたから、志望校を決める個別面談ではなんとか話せましたが。。

そんな突然の異動もあったりするので、子どもと相性の良い”話せる先生”が数名いたら心強いです。

母

異動の件は、本当にショックで電話相談の時にも、これからって時に頼りにしていた先生がごっそりいなくなってしまって、誰に相談していいか分かりません。って文句言っちゃったよね。。

⑤ 遠慮せず直接電話で相談する

頑張っているのに授業テストやマンスリー&組分けテストで結果が出ない時、遠慮せずに先生に相談することをオススメします。その際に、どの単元の〇〇が、と出来るだけ具体的に質問した方が、先生もアドバイスをしやすくて、実際すぐに使える対策を教えてくれたりします。ざっくりと、なかなか偏差値上がらないんですが、どうしたら良いですか?なんて聞いても、ざっくりとした答えしかもらえないと思います。

はじめのうちは、先生もお忙しそうだし「また〇〇くんのお母さんか」なんて思われるのも嫌だな、と遠慮していたけれど、6年生になって成績が下がったり、新型コロナで休講になったりして大変だったので、ちょくちょく電話をするようになりました。いつも丁寧に対応してくださって、先生だって頼られると悪い気はしないし、子どものことをより気にかけてくれるようになるんですよね。それに気づいてから、もっと早く色々と相談すれば良かったと思いました。

電話で相談をした時は最後に、「私から言っても聞かないので、先生からも本人に伝えてもらえませんか?」とか、「子どもにも一声かけていただけませんか?」とお願いしてみてください。大抵の先生はその次の授業の時に、廊下に息子を呼び出して声をかけてくれました。

自分だけ特別に声をかけてもらうことが子どもにとってはすごく嬉しいみたいで、元気になったり、やる気になったりするんです。親が言うよりも、お友達や先生に言われるほうが響くんですよね。これは効果大なので是非やってみてください!

母

高い授業料払ってるんだし(笑)もっと先生を上手に巻き込まないとね。